お口の健康情報

No.37『歯牙移植』
 虫歯や歯周病等で不幸にして歯を失った場合、その機能回復方法としてブリッジ・部分入れ歯・インプラントといった治療法があることは多くの方がご存知だと思います。さらにもうひとつの選択肢として歯の移植を紹介します。欠損歯数が1~2本程度であれば自分の他の歯を抜いて欠損部分に移植するというもので、適応可能な症例は制限されますが、欠損に対する有効な治療法といえるでしょう。

 まずは、移植に使う歯ですが、機能している歯を抜くことは出来ませんから多くの場合は咬み合わせに関与していない親知らずを使います。移植歯にとって最も大切なことは歯の根を取り囲んでいる歯根膜という繊維を傷付けないことで、もし傷付いたり、剥がれたりした部分があると、そこから歯根が溶けるという失敗に繋がります。ですから、比較的簡単に抜歯が出来るような根形態の歯を選ぶことが必要となります。また、移植する部分についても移植歯を受け入れるに十分な骨の量がないと生着は難しくなります。

 歯牙移植の最大の利点は人工物でなく自然の歯として機能するということで、入れ歯やブリッジのように他の歯に負担を掛けることもなく、インプラントほどメンテナンスに手間が掛かることもありません。ただし、全ての症例が成功するとは限らず、生着しないこともあれば、数年後に根が溶けて抜けてしまうことも稀にですがありますので、ご自分の欠損部分について歯牙移植が可能かどうかは、かかりつけの歯科医師とよく相談して治療を受けてください。

岡山市歯科医師会

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